叙事詩のひろば
きわめて日常
叙事詩
――《 きわめて日常 》――
朝食をとりながら
窓の外を眺めた
庭の雑草の葉に
白い霜が降りて
倒れていたネギが
むっくりと起き上がった
すっかり諦めていた
ひと月前蒔いたえんどう豆から
瞳のような小さな芽がでた
家の前の県道を
通学の自転車が走る
西へ上る若者たち
東へ下る若者たち
雨が降っても
登校を急ぐ男女の自転車の群れ
早い子もいて
遅い子もいる時は
遅刻しないように
そして事故などしないようにと
応援したくなる
郊外への定期バスが通り
トラックが追いかけ
普通車に軽自動車が次々と続く
三輪車で風を切って走る
ヤクルトおねえさん
なんて躍動的で幸せな朝だろう
テーブルの上から
じっと窓の外を眺めた
叙事詩家 萬天
アッー!
歳時記
おしゃかさま
叙事詩
―――《おしゃかさま》―――
遊んでいた三歳の孫が
突然天井を指した
その姿は
まるでお釈迦様
「てんじょうてんげゆいがどくそん」
ではなく
「じいじ 電気がきえた」
と孫が言ったと分り
思わずほっこり
微笑んだ
叙事詩家 萬天
クロテットクリーム
叙事詩
—— 《 クロテットクリーム 》
いろいろ作ってみた
手造りスコーンに
自家製の
いつもより甘くした
実のかたまりのある
イチゴジャムをスコーンにのせて
その上にクロテットクリームを
こぼれるくらい重ね
お気にいりの
ちょっと濃い目の紅茶に
濃厚ミルクを入れて
どうすると思いますか?
そう
ちょっと甘くしたミルク紅茶で
クロテットスコーンを一人でたべる・・・
自分だけの
マイ紅茶タイムなんて
もったいないよね
モザのサードスペースで・・・
いかがでしょう―――?
叙事詩家 萬天