日記

2022-01-09 19:37:00

読書向田邦子【エッセイ】

新年あけましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。

今年も昨年同様、よろしくお願い致します。

 

【エッセイ】

一日が終わり、今日も夕食を授かり、習慣のようになった意味のないテレビのスイッチは入れず、

一息つき、最近購入していたばかりの本、向田邦子さんのエッセイ集を開けた。

以前から、少しばかり時間が出来るとページをめくる程度である。

読みだすと、決まって面白い。

ときには声を出して、一人笑いをする時もある。

良く分からない男が、一人笑いをする?

自分の事ながら、その姿をあまりいい感じには想像できない。

エッセイは一挙に昭和へとタイムスリップする。

そして、登場するのは向田さんの両親。

向田さんが中学生ぐらいの年齢頃なのか、女中のように家事手伝いをしていた。

女中ではなく、両親の言いつけを守っていたというのが正しい。

その時代の家事手伝いは、子供にとっては当然の仕事でもあった。

そういえば、向田さんの家だけがそうであったのではなく、子供の家事手伝い無くして、一般家庭の生活は回って行かなかった。

そして何処の父親も、まじめで偉かった。

勿論それを支える母親も、献身的だったと思う。

子供は父や母親の言いつけを守った。

その本はまだ読みかけではあるが、以下、その中のエッセイの一つ、邦子さんの祖母の葬式の時の話が興味深い。

 

『その日は祖母の葬儀だった。

突然、父の会社の社長が来てくれた。

地方の一支店長だった父親は驚き、恐縮極まりないと言った様子で、平身低頭、上がり框に頭を付け平伏した。

日常の父親の見たこともない姿だった。』

古来家長として君臨する父の姿から、世間のしがらみより、家族を守る姿に変わった。

晴天の霹靂といえる出来事だったようだ。

邦子さんの父親の姿と、読者である自分とが重なり、思わず涙が吹きあがってきた。

涙があるとすれば娘の邦子さんであって、読者ではないはずである。

 

読書は面白い。

トイレの中ばかりではなく、

ゆっくりと、あえて時間を取りながら、

続きを読まなければならないと思う。

1 2 3 4 5