日記
読書向田邦子【エッセイ】
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。
今年も昨年同様、よろしくお願い致します。
【エッセイ】
一日が終わり、今日も夕食を授かり、習慣のようになった意味のないテレビのスイッチは入れず、
一息つき、最近購入していたばかりの本、向田邦子さんのエッセイ集を開けた。
以前から、少しばかり時間が出来るとページをめくる程度である。
読みだすと、決まって面白い。
ときには声を出して、一人笑いをする時もある。
良く分からない男が、一人笑いをする?
自分の事ながら、その姿をあまりいい感じには想像できない。
エッセイは一挙に昭和へとタイムスリップする。
そして、登場するのは向田さんの両親。
向田さんが中学生ぐらいの年齢頃なのか、女中のように家事手伝いをしていた。
女中ではなく、両親の言いつけを守っていたというのが正しい。
その時代の家事手伝いは、子供にとっては当然の仕事でもあった。
そういえば、向田さんの家だけがそうであったのではなく、子供の家事手伝い無くして、一般家庭の生活は回って行かなかった。
そして何処の父親も、まじめで偉かった。
勿論それを支える母親も、献身的だったと思う。
子供は父や母親の言いつけを守った。
その本はまだ読みかけではあるが、以下、その中のエッセイの一つ、邦子さんの祖母の葬式の時の話が興味深い。
『その日は祖母の葬儀だった。
突然、父の会社の社長が来てくれた。
地方の一支店長だった父親は驚き、恐縮極まりないと言った様子で、平身低頭、上がり框に頭を付け平伏した。
日常の父親の見たこともない姿だった。』
古来家長として君臨する父の姿から、世間のしがらみより、家族を守る姿に変わった。
晴天の霹靂といえる出来事だったようだ。
邦子さんの父親の姿と、読者である自分とが重なり、思わず涙が吹きあがってきた。
涙があるとすれば娘の邦子さんであって、読者ではないはずである。
読書は面白い。
トイレの中ばかりではなく、
ゆっくりと、あえて時間を取りながら、
続きを読まなければならないと思う。