散文詩の窓
「車軸の下 」
こんにちは。
ようこそ≪散文詩の窓≫へ。
最近、情報公開の変化と共に
徐々に町の書籍店が閉店になってきています。
大変寂しいことです。
なんとか持続して欲しいと思いますが、
なんとかこの負の現象を
くいとめることはできないのでしょうか?
今日はドイツの詩人、小説家、ヘルマンヘッセ・1877-1962
1946年 ノーベル文学賞受賞
(翻)役者 高橋健司 新潮社 令和三年五月 百四十刷
第一章からの文節の抜粋をいたします。
小説の冒頭、第一章にその父のその生業について詳しく紹介されています。
なぜ小説の冒頭が主人公の父なのか、
この物語を読むまでは理解できませんでした。
筆者ヘルマンヘッセも主人公の父の生業を、
あえて冒頭にて書く必要があったのか悩んだに違いありません。
それではその父とはどんな人だったのか?
ここに書きしるします。
≪第一章≫
ヨーゼフ・ギーベンラート氏は、
恰幅のある丈夫そうなからだつきで、
商才もなみだった。
金銭をとうとぶことは厚いが、
まがったことはしない。
小さいながらも庭のある家を持っている。
神様やお上に対しては適度な尊敬を失わない。
町の人間同士の礼儀の鉄則には盲従する。
相当飲むには飲むが、ついぞ酔っぱらったことはない。
仕事も、法規で許されている範囲を超えたことは一度もない。
貧乏人のことは餓鬼とののしり、
裕福な人間のことは成り上りも者とそしった。
仕事をするときは安い葉巻をすうが、
食後や日曜日には上等のを吸った。
彼の内的生活は俗人のそれだった。
どこにでいるごく普通の父親でした。
この小説において、うつくしい散文的抒情詩が見られます。
追々、この窓で紹介していきたいと思います。