散文詩の窓

2025-10-07 13:55:00

「車軸の下 」

こんにちは。

ようこそ≪散文詩の窓≫へ。

 

最近、情報公開の変化と共に

徐々に町の書籍店が閉店になってきています。

大変寂しいことです。

なんとか持続して欲しいと思いますが、

なんとかこの負の現象を

くいとめることはできないのでしょうか?

 

今日はドイツの詩人、小説家、ヘルマンヘッセ・1877-1962

1946年 ノーベル文学賞受賞

(翻)役者 高橋健司 新潮社 令和三年五月 百四十刷

 ≪車軸の下≫

第一章からの文節の抜粋をいたします。

 

 当小説の主人公はハンス・ギーベンラートという天分のある子供(つまり世間的に言われるよくできた子供)でした。

小説の冒頭、第一章にその父のその生業について詳しく紹介されています。

なぜ小説の冒頭が主人公の父なのか、

この物語を読むまでは理解できませんでした。

筆者ヘルマンヘッセも主人公の父の生業を、

あえて冒頭にて書く必要があったのか悩んだに違いありません。 

それではその父とはどんな人だったのか?

ここに書きしるします。

 

  

≪第一章≫

ヨーゼフ・ギーベンラート氏は、

恰幅のある丈夫そうなからだつきで、

商才もなみだった。

金銭をとうとぶことは厚いが、

まがったことはしない。

小さいながらも庭のある家を持っている。

神様やお上に対しては適度な尊敬を失わない。

町の人間同士の礼儀の鉄則には盲従する。

相当飲むには飲むが、ついぞ酔っぱらったことはない。

仕事も、法規で許されている範囲を超えたことは一度もない。

貧乏人のことは餓鬼とののしり、

裕福な人間のことは成り上りも者とそしった。

仕事をするときは安い葉巻をすうが、

食後や日曜日には上等のを吸った。

彼の内的生活は俗人のそれだった。

 

 つまり・・・、

どこにでいるごく普通の父親でした。

  

 ところで・・・、

この小説において、うつくしい散文的抒情詩が見られます。

 

追々、この窓で紹介していきたいと思います。

 

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